西野亮廣氏の新著「夢と金」と介護・福祉のこれから

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介護
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2023年4月19日。お笑い芸人や絵本作家などの活動で有名なキングコング西野亮廣さんの新著「夢と金」が発売されました。


「「エンタメ=夢」を実現しながら「生きるお金」を生み続けていキングコング西野による“生きるための説明書”」と帯にあるように、お金の知識があるかないかで人生が二分される現代

「介護・福祉こそ『夢と金』が必要だ」と感じ、先日お世話になった施設に「夢と金」を3冊寄付しました。

その時の経緯はこちらから


今回は何故介護・福祉こそ「夢と金」が必要なのか、その理由を解説しつつ「介護・福祉のこれから」を探っていこうと思います。


「夢と金」の概要

「夢と金」の内容を一言でまとめるなら「『お金』が尽きれば『夢』は尽きる」になります。


この「夢」とは自分が実現させたい理想であったり、守りたい生命であったり、願わずにはいられない想いであったりします。

それらの夢の実現には関わる人すべての生活が掛かっていて、彼ら彼女らの生活を成り立たせるためにはお金が欠かせません。しかし今の日本では「お金の学び」を伝える場や「お金の使い方」を教える人が少ないのが現状です。


それだけにお金をうまく扱えなくて夢を諦める人が多く、
夢を叶えた一部の人を称賛したり妬んだりし、
そうした生き方を子どもたちに見せては「大人になったらこうなるんだぞ」と夢を奪っていくのです。



本書では夢を実現させるお金の知識として

・高価格帯サービスを利用する富裕層のおかげでサービスが安く使える
・プレミアムとラグジュアリーの違い
・夢を叶える方程式
・「機能」ではなく「意味」を売る
・ハイスペックとオーバースペック
・「正しいサービス」より「惚れるサービス」
・「応援シロ」を設計する
・顧客のファン化


などについて、実体験や実践例、数字などを用いて解説しています。


今や一人一台スマホを持つ時代で、あらゆるサービス(機能)が一瞬で共有され価値が均一化されます。

「美味しいお店の情報」だけでなく「美味しい料理の作り方」でさえ調べればすぐに見つけるのですから、「どこで何を食べても、誰が作っても美味しい」という『機能』の均一化がなされます。

そうなると商品を売るためには値段を下げる『価格競争』をするしかなく、「売れないか、儲けが出ないか」という、参加者全員が「しあわせ」にも「ゆたか」にもならない耐久レースが始まってしまいます。


この価格競争を避けるためには「このお店で食べる『意味』」を生み出す必要があり、その『意味』を求めてお店に訪れる人々を「ファン」と呼ぶ訳ですね。

「お金の知識」は介護・福祉に必要か

ここまでの話を聞いた時に

「福祉ってお金とか、そういう事じゃないから」
「介護でお金の話をしたところで、職員の給料が安いんだからなんともならないだろ」
「結局お金のある人の話でしょ? そんなのが役に立つとは思えない」

といった感想が思い浮かぶかもしれません。

それらの感想自体が「介護・福祉」と「お金」が密接に関わっている証拠と言えますが、実感として「介護・福祉」と「お金」の距離感が遠い現状があるようです。


しかし「介護 お金」で検索をすれば「介護の費用」、「福祉 お金」で検索をすれば「生活福祉資金」が最初の候補として上がってきます。

これらは「お金のやりくりをどうするか」という点で『お金の知識』と言えますし、検索上位に表示される以上、介護・福祉に関わる方々がそうした知識を必要としている現実があると言えます。


また介護・福祉職員自身に関わるお金の知識を見ていくと

・お金を稼ぐ → 副業を始める
・お金を増やす → 投資を始める
・お金を守る →固定費を見直す


といった内容が当てはまります。

介護・福祉が税金から報酬が支払われる「制度ビジネス」である以上、「介護職としての給料を上げろ」と主張してしまえば「事実上の増税」を招く事態となるのは、以前の記事「『介護職の賃上げ』は『貧しさ』を生む」で指摘した通りです。



これは「介護・福祉職は貧しければ良い」という話ではなく、「介護・福祉職こそ『お金の知識』を身につけて豊かで幸せになろう」という話です。


例えば「給料が足りない」と感じるのであれば、具体的にいくら足りないのかを数字で出して可視化すると『数値目標』が定まります。

次に「その数字を満たすための『手段』」を探していけば「資格取得」「昇進」「副業」「転職」といった具体的な打ち手が見えてきます

そしてそれらの手段から「実現可能性」や「費用対効果」を検討して『行動』に移せば、現実的に「足りない金額」を手に入れることになります


これだけで『介護職員等ベースアップ等支援加算』のような「事実上の増税」(いずれ大半の国民が『要介護者』として加算分の支払いをすることになるため)をせずとも「給料が足りない」問題を早急に解決できるわけですね。


「これだけ大変な仕事をしているのだから、給料がたくさんもらえるべきだ」と、感情面で納得感が出てこないのもわかります。

しかし介護・福祉の仕事は本来『福祉の実践(=人のしあわせ、ゆたかさの実現)』のために行われるものですから、介護職だけの幸せ・豊かさを求めても「職の本分」を見失ってしまいます。


ですから、まず自分事として「お金の知識」を身につけることが介護・福祉職自身の幸せや豊かさ、言い換えれば『夢』を叶えることになるのです。

介護・福祉における『夢』とは

介護・福祉と「夢と金」の関連性を見ていくためには、介護・福祉にとっての『夢』を定義する必要があります。

介護・福祉全体にとっての『夢』とは「介護・福祉を行う『目的』」であり、「生命を守るため」と言えます。

介護を受ける利用者・家族にしても、介護職員にしても、法人、事業者にしても。
最終的に『ヒト』に携わることを避けられない以上、全ての介護・福祉は『生命』を起点とします

であれば、必然的に「生命を守る」という目的のためには携わるヒト全ての生命を守ることを考えていくこととなります。


しかし、現実には

・上がり続ける介護保険料の支払いに苦しむ利用者・家族
・低賃金で働かざるを得ない介護・福祉従事者
・経営難と隣り合わせでどうにか収益を上げなくてはならない法人・事業者


と、どの立場になっても「お金に苦しむ」姿が浮き彫りとなっています。


利用者・家族は十分な介護費用が払えず自分たちだけで生活していくことを考えて「老老介護」「介護離職」「ヤングケアラー」といった社会問題と直面することとなり。

介護・医療従事者は心身あるいは生活の限界が訪れて、本人の意思とは関係なく退職・転職せざるを得なくなり。

法人・事業者も資金が限界を迎えれば閉所や事業撤退をせざるを得なくなります。


このように、「お金の知識」がなければ『生命』は守れないのです。

法人・事業者と「夢と金」

もし「利用者・家族」「介護・医療従事者」「法人・事業者」に、既存の制度以外でも「お金」を扱う知識があれば、このような難局も乗り越えれるかもしれません。


例えば「法人・事業所」がクラウドファンディングで支援金を募って一時的に「お金の危機」を脱出できれば、閉所や事業閉鎖を後送りにできるでしょう。

それどころか「法人・事業所のファン」から従業員や施設利用者を募ることで「法人・事業所の理念に共感する人々のコミュニティ」が施設内で形成される可能性も高まります。

彼ら彼女らは施設の『機能』ではなく『意味』を求めて集まった人々ですから、少しの問題では離れようとしないどころか一緒に協力して問題を解決するようになるかもしれません。

そのような「壊れない、長続きするコミュニティ」がある施設は定期的に利益を生み出すことになりますから、経営難そのものも解決しうるのです。


もっとも、クラウドファンディングが成立する前提として「先に『ファン』を作る」必要がありますから、法人・事業所こそ普段からの情報発信でいかに自分たちの事業活動に共感してもらえるかが鍵となります。



情報を発信する以上、法人・事業所は『透明性』(組織としての健全性が明らかな状態)を保つ必要が出てきます。

介護・福祉施設での窃盗・虐待等事件が度々ニュースで流れる昨今ですが、複雑に絡み合う原因の一つに「中で何が起きているか外部からは見えづらい」という『不透明性』があります


そこで「施設内の様子を情報発信する」と決めれば普段の活動内容が外部に発信されることになりますから、

業務内容の見直し・改善(特に職員への負担が過重になっていないか)
②施設内イベントの充実と利用者参加(利用者自らが準備から参加し、その姿が発信できるよう設計)
施設内清掃と整理整頓(「見られる」意識を共有することで犯罪行為の抑制効果をもたらす)
④情報発信に対しての利用者・家族、職員への同意(同意が一体感を生み、発信の熱量へと変わる)


これらの事前準備を済ませて挑むことになります。

①〜④のどれが欠けても「なんだか『ヤラセ』感がある」と思われて、ファンになってくれるかもしれない人を遠ざけてしまいます。


情報発信とは『熱量』であり、熱量は「参加者」と「本気度」の掛け合わせで生まれるものです。

どこかで「手抜き」があれば、それは違和感となって発信された情報に載せられて伝わります。まず参加者自身が「自分たちの居場所が好きかどうか」が問われるのです。


ですので、最初にやるべきは「内部の問題を解決する」ことになります。

介護・福祉従事者と「夢と金」

介護・福祉従事者でみても「お金の知識」があることで自身を豊かにできることは先にお話しした通りです。

また「固定費の見直し」に関しても、以前の記事「手取り15万からの介護士の『豊かさ』を考える ②家計を見直す」でお話ししていますので、そちらも併せてご確認ください。


介護・福祉職がまず自分のために「お金の知識」を学んで豊かになっていくと、仕事でもその際に学んだ知識が活かされます。


例えば副業でオンラインショップを開いてハンドメイド作品を販売できる職員なら、施設でも利用者さんが作った作品を販売するノウハウも身につけていることになります。

そうなると「利用者さんの好きなもの」を作ることで本人の余暇時間が充実し、それが「施設の知名度」を通じて作品として販売されることで『施設のファン』『利用者本人のファン』を広げることにつながっていきます。

そこで得られた収益をどうするかは当事者同士の話し合いによりますが、この道筋を生み出すことによって

本人→やりがい、生きがいを感じつつ外部との接点を持てる。ファンの面会も期待できる。
職員→自分のノウハウを仕事に役立てることで評価が高まり、昇給・昇進につながる
施設→施設の「透明性」を確保しつつ、収益を適切に扱うことで存続・発展へつながる


このような「三方良し」の効果を期待できることから、「お金の知識」が時に3K、4K(きつい、危険、汚い+給料が安い)の介護現場を改善する可能性を秘めているのです。



また、障害者の作業所ではよくパンやクッキーなどを作って販売していますが、現状「障害者が作ったもの」として安く買い叩かれる場面を多く見かけます。


確かに、これまでは『意味』よりも『機能』重視で売買が成立する時代であったため、「安くても買ってもらえるなら」と甘んじて受け入れざるを得ない状況ではありました。

しかし福祉従事者が福祉に厚く「障害者が社会へと働きかける『意味』」を感じているのなら、彼ら彼女らの作った商品に『価値』を見出しているはずです。


もしそうなら、今こそ「障害者が働くことで生まれた商品を買う『意味』」を形にして、共感してもらえる人たちにファンとなってもらうよう情報を伝える時です。


もちろん、これまでも会報誌などで情報発信をしてきた施設もあるでしょう。

しかしそれらは『購入層』を意識して作られたものとはなっておらず、「自分たちの伝えたいこと」だけを前面に出した単一方向の情報発信ではありませんでしたか?


「誰にどのような情報を届けるか」はターゲット層によって使う媒体や届け方が異なります。


マーケティングもまたお金の知識であり、「自分たちは誰にどんな情報を届ければ応援してもらえるか」をつぶさに分析していけるようになると『障害者の商品』を安売りせずに済むかもしれません。

そうなれば働く障害者に渡す工賃も「月に数百〜数千円」から「月に数万円」に変えられるかもしれません。


つまり介護・福祉従事者が持つ「お金の知識」の度合いによって利用者を取り巻く世界も大きく変わるという話です。


まとめ 〜豊かで、幸せな社会〜

今回は「西野亮廣氏の新著「夢と金」と介護・福祉のこれから」というテーマでお話ししてきました。


介護・福祉こそ、『生命』を守れるように「お金の知識」を自分事として受け入れる必要があります。

もし介護・福祉で『生命』を「誰かのせい」として捉えれば、

お金は国が用意すべき」
暮らしの場は地域が用意すべき」
働きやすい環境は施設が用意すべき」
充実した毎日は職員が用意すべき」

という「〜すべき」に囚われ、「誰かのせい」が堂々巡りになって何も解決しなくなります。

どこかタイミングで「人任せにしてばかりではいられない」と、自分事として『夢』と『お金』に向き合っていくことが大切なのです。


たった「お金の知識」がないだけで、苦しめられる『生命』があります。
たった「お金の知識」があるだけで、救われる『生命』もあります。

どちらがより「豊かで、幸せな社会」だと思いますか?


もしかしたら、今までのあなたはお金のことを考えたり求めたりするのを「卑しいことだ」と思われていたかもしれません。

でも、今のあなたはお金が豊かで幸せな社会を作るのだと知っています。

それなら、これからのあなたは何をしますか?


『夢』と『お金』がめぐるとき、老若男女、障害のあるなしに関係なく誰もが豊かで幸せな社会を迎え入れることができるでしょう。



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