介護で稼ぎたいのか、人の役に立ちたいのか、どっち?

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介護
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今回は介護士の悩みについてお話しします。介護士ってこういう悩みがあるんだなぁと感じてもらえたら嬉しいです。

福祉の第一線

介護現場というのは、人々の幸福を実現する福祉の第一線です。

福祉という言葉そのものが「しあわせ」を意味し、介護の実践は日常生活で支援を必要とする人々の生活の安定や充足に直に貢献していますから「福祉の第一線」といって差し支えないでしょう。

人々の幸せに貢献できる福祉の仕事、その中でも人と直接かかわる介護現場は、とても幸せに満ちた空間のようなイメージを持たれるかもしれません。


ところが、多くの介護現場はそんなに甘くはありません。

介護職員は常にトラブルに見舞われ、その対応と責任によって疲れ果てています。
その上日々の記録を残すために残業したり、利用者さんの対応について緊急会議を開いたりもしますから、精神的にも肉体的にも追いつめられることがしばしばあります。


「第一線」の言葉通り、福祉の実践における「最も活発で中心となる位置」にあるのが介護現場なのです。

介護士の悩み

福祉の第一線である介護現場。
そこで介護士が抱える悩みは大きく分けて2つになります。


①日々の介護が福祉の実践につながっているかどうか
②仕事が報酬と見合っているかどうか


上に並べた2つは発想の出所がまるで違います。①は「人の役に立ちたい」という精神性、②は「体を使ってどれだけ稼げるか」という肉体性から来る悩みで、そのどちらも介護士に重くのしかかるのです。

ここの葛藤を持たない、もしくはどちらかが欠けている介護士はまもなく介護士としての役割を手放すことになります。


その理由を説明するにあたって、まずは①と②、どちらかが欠けた状態をイメージしてみましょう。

精神性が欠ける場合

①の精神性が欠ける場合、その人は「仕事で稼げるかどうか」を重視します。


これは「職業に貴賤はない」というたぐいの話ではなく、生きる糧を得るために複数ある仕事から何かしらの縁で介護の仕事をしている状態ということです。

言い換えると、福祉の実践を志して介護の仕事をしているわけではなく、生きるために稼ごうとしたらそれがたまたま福祉の実践につながっていた状態です。


福祉畑で長年活躍された方からすれば「え、福祉でそんな人いるの?」と思われるかもしれません。

しかし福祉サービスが「行政がサービスを決める措置制度」から「個人がサービスを選ぶ契約制度」へと変換したその時から、職業選択として異業種から介護業種へ人が流れるようになりました。

僕が実際にかかわった職員さんの中には金融業や保険業、貿易、工場勤務だった方もいましたね。


そのような人々は資格取得のため一通りの知識と技術を学びますが、その根底にある福祉の志については個人の資質によります。元々職を求めて介護を選んだわけですから、その志よりも早く働いて稼ぐほうが重要なのは想像がつきやすいかと思います。


となれば当然そのような人々が悩むのは②の肉体性、すなわち「割に合うか」です。


日々大変な目に合ってまで働いた報酬が少なければ「これじゃあ意味ないな」と仕事の手を抜いて楽をする方法を選んだり、仕事を辞めたりするのは自然の流れです。


またこれだと介護サービスの質は落ちる一方で、社会全体として介護職員の報酬は深刻に考えるべき問題だといえます。


世間はともすれば介護士を「介護をするくらいの人なんだから社会貢献の気持ちがあって当たり前だ」と思うかもしれませんが、介護士も人間です。当然自分の人生にとって最善の方法を選ぶ権利があります。

それにもかかわらず介護をその分野の人に押し付けてしまうと、担い手が十分に育まれていない社会を生み出してしまいます。

このような社会では自分の家族や自分自身が介護を受けるときに「どうしてこんな目に合わないといけないんだ!」と嘆くことにもなりますから、これを機に介護への関心を持っていただけると助かります。

肉体性が欠ける場合

②の肉体性が欠ける場合、その人は「いかに貢献できるか」を重視します。


「介護は福祉の実現のためにある」と心に刻み、高い志をもって日々の業務に勤しみますから、その人個人が提供するサービスの質はとても高いものになります。

志を全うするためなら喜んで残業するし、そこに給料もいらない。
今日一日利用者さんの笑顔が見られるなら、何を犠牲にしてもかまわない。
福祉の実現が精神の充足になるような働き方をするのです。


そのような人は、時に同じ職場の介護士と衝突します。


すべての介護士が福祉の実現を第一目標にしているわけではありませんし、何より介護現場というものはチームワークで成り立つ職場ですから、一人だけ突出したところでチーム全体が機能しなければ不和を生み出します。


介護現場で職員間の仲が険悪になってしまうと、それは想像以上の苦痛を生みます。派閥の中に入り込めば何とか仕事は続けられるかもしれませんが、孤立してしまった場合は我慢せず転職することをお勧めするほど過酷です。


なぜなら、介護現場の派閥というものは利用者さんも含めた複雑な人間関係で成り立っているからです。

想像してみるとわかりやすいのですが、利用者さんも毎日自分の介護をしてくれる介護士との関係性を悪化させたくないのです。
特に入所施設にいる利用者さんは24時間365日介護士と付き合うわけですから、介護士との関係性は自分の生活に大きな影響を与えます。


ゆえに、チームから孤立してしまうと利用者さんからも拒否されてしまい仕事ができなくなってしまう危険性があります。

そして志が高いがゆえに、そのような介護士は理不尽さに悩まされるのです。

まとめ ~「お互い様」で働く~

精神性・肉体性のどちらが欠けても「介護士でいられなくなる理由」が生まれます。

割に合わなければ介護士であり続ける理由はありませんし、周りから拒絶されてしまったら介護士として続けられなくなります。


であれば、大切なのは精神性と肉体性のバランスを保つことです。


稼ぐばかりではなく、利用者さんに普段の1割増しで親切にして「ありがとう」と言われて精神の充足を得る

志を高くして理想ばかりを追求するのではなく、地に足を付けて現実の自分と向き合い「自分に今求められているものはなにか」をチームメンバーと話し合って見つけていく。


精神性と肉体性、どちらが優れているかという視点では悩みは解決しません。
介護士もまた清濁併せ持つ人間なのですから、「お互い様」で分かり合うことが大切なのです。

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