介護の送迎車から見える世界

介護

今日は介護の送迎車から見える世界を書き連ねていきます。

介護での送迎ってどんな感じ?

車で街中を走っていると、時折「○○福祉会 △△の郷」というような組織名の入った車を見かけることがありませんか?

これは高齢者介護ないし障害者福祉サービスを提供する施設の送迎車になります。


この送迎車、近隣から遠いところでは片道1時間半かけて一人の利用者さんの送迎に出かけているところもあります。

早いところだと朝7時には車を走らせて朝10時の開始に合わせるようにしている施設もありますし、帰りの送迎が終われば日が暮れる、なんてこともあります。


介護は24時間365日必要なものですから、施設はそのような送迎をほぼ毎日行っています。僕自身もミニバンクラスのリフトカーを運転して街の中を行ったり来たりしています。

利用者さん宅の前、あるいはその付近まで大きな車で行くわけですが、時には車幅+数十センチの狭い道を走り、そのままバックから利用者さん宅の駐車場にリフトカーを入れることもありました。
そのお宅への駐車だけで30分掛けたこともあって、あれはなかなかに神経をすり減らしましたね。


この他にも、送迎に行くときは停車中も地域に住まれる方々への配慮が欠かせません。
送迎車が他のお宅の玄関や駐車場、道路を塞ぐわけにはいきませんから、送迎業務は常に時間に追われているのです。


このように介護での送迎というのは、神経をすり減らしながら時間に追われる業務になります。
皆さんが仕事で社用車を使う場合と何ら変わりないわけですね。

介護の送迎は特別か

ところで、以前送迎車に乗って業務を行う職員からこのような話を聞きました。


「送迎終わりにコンビニに寄ってコーヒーとおにぎりを買い、店から出て車に入りエンジンをかけると、その近くでタバコを吸っている人から不審な目で見られた」

「添乗員として助手席で水を飲んでいると、施設の電話が掛かってきて『お前のところの職員は車の中で呑気に水なんか飲んどる!』とクレームを入れられた」

「信号停車中にドライバーさんとおしゃべりしているだけなのに、歩道を渡る人からキツイ目でにらまれた」


これらの話を聞いて、あなたはどう感じましたか?
彼らはそのような目に合って然るべきなのでしょうか。それとも理不尽でしょうか。

このことを考えるにあたって、上の言葉を一つひとつ紐解いていきましょう。


まず、送迎終わりに介護職員が買い物をするのはいけないことでしょうか。

送迎車の車体にはその施設の名前が記載されていますから、それが介護の送迎車なのは外から見てもわかります。他に外から見てわかる事実はコンビニで買い物を終えた職員が戻ってきて車のエンジンをかけたことです。この時、あなたどう感じるのでしょう。


次に、助手席で水を飲んではいけないのでしょうか。

この場合、その送迎車が業務中なのか業務後なのかは外からでは判断できません。外から見た人が捉えられる事実は「助手席に乗る職員が水を飲んでいる」だけです。その一場面だけを頭の中で思い浮かべたとき、その様子に違和感を覚えますか?


最後に、信号停車中にドライバーとおしゃべりをしてはいけないのでしょうか。

二番目同様、業務中か業務後かは判断つきません。わかるのは送迎車に乗って楽しそうに話しているドライバーと職員の姿だけです。別に白線からはみ出しているわけでもなく、歩行を妨げているわけでもありません。ただ信号待ちをしているだけです。
この様子に、あなたは何を感じ取るのでしょうか。


1~2分ほど考えてから次の項目を読んでみてください。
答え合わせをするわけではないので、気軽にどうぞ。

「介護職員」へのイメージ

さて、いかがでしょうか。
あなたはそれぞれの会話に出てくる人々と介護職員のどちらに共感しましたか?


これからお話しするのは、介護職員としての見立てです。
なので正解ではなく「見え方の一つ」として捉えてもらえると嬉しいです。


介護士である僕個人が思うのは、世間は介護士に良いイメージを持ちすぎている、ということです。

なので各会話の裏に隠れているものは「介護士(福祉)たるもの」という思いであり、その思いとかけ離れている行動を目にしたときに許せない気持ちが沸き上がってしまうのでしょう。


もちろん介護を行う人に対して良いイメージを持ってもらうことは励みとなりますから、イメージを持つことの是非を問うわけではありません。むしろ誠実に介護に勤しむ人を労わってもらえれば、どんなに嬉しいことかわかりません。

ただ、前回の記事介護士の悩み ~精神性と肉体性~でもお話ししたように、介護士も人です。
自分のために行動する権利が皆と同じようにありますし、殊更介護士だからといって人の持つイメージに従って生きなければならない道理はないのです。

その点で見れば、会話に出てくるような状況全てが他の職業でも行っていることですから、介護職員だけが責められるのは少々筋が通らないと考えます。

しかし現実には「責められる事実」があり、そこにはどうしても「介護職員なのに」という思いが見え隠れしているように感じられます。


なぜなら。


建設業の方も、営業の方も、運搬業の方やその他の方も等しくコンビニで買い物をされています。
喉が渇けば当然のように水を飲みますし、話し相手がいれば話もします。
介護士もまた同じように過ごしているだけなのです。

素行に問題がない限り他のどの職業でも

「コンビニで買い物したら、不審がられた」
「水を飲んでいたら、クレームを入れられた」
「信号待ちでおしゃべりしてたら、にらまれた」

といった話は聞きませんから、やはり介護士に対して過度に清貧なイメージを持たれているように感じます。


こうして捉え直してみると、今回お話しした三つの会話の見え方もまた変わってくるのではないでしょうか?

まとめ ~介護士の視点~

いかがだったでしょうか。

今回の記事を通して「介護士の視点」を取り入れることで新しい世界の捉え方を知ることができたのではないかと思います。


また僕が介護を考えるうえで参考になった書籍を紹介しますので、よかったら一度読んでみてください。


本からの学びは揺るぎない自信へとつながっていきます。

介護を自分の「感情」頼りにするのではなく、知識や経験に裏付けられた「事実」と併せて行うことで、介護はすべての人を豊かにしていくことができるのです。


一緒に学んでいきましょう。

【併せて読みたい記事】
介護士の悩み ~精神性と肉体性~


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    コメント

    1. mickeeey より:

       お疲れ様です!!大変ですね…
      私の家族がロードサービスの仕事をしていますが、同じようにコンビニで買い物で苦情が入るそうです。

       買い物だけでなく、コンビニ利用のお客さんの依頼で駐車場に停めても苦情を受けるそうです。(作業後に買い物する様にしてるとか…)

       他の職業→警察・救急・配達の方達も同様の苦情を受けるみたいですが…
       介護職は2人が多いので、気楽そうに見えてしまうのでしょうか!?

       自分達が送迎車を利用するとか、経験するまでは理解してもらえない感じですよね…
       相手の立場を思いやる→想像力が欠如している社会は残念だし淋しいです。。。

      • ナカさん ナカさん より:

        コメントありがとうございます。他の職業でも言われることがあるんですね、驚きです。

        イメージとしては「自分の不満を解決できる理由」を求めたがっているように見えます。

        中でも介護士というのは一見誠実そうな職業ですから、そういう人たちの俗っぽいところを見つけては
        「そんなことをしていいのか!」と問いただすことで自分の正しさを証明しているような感じがしますね。

        少しだけでも「この人はどういう想いでいるんだろう」と考えてもらえるだけで社会は良くなっていくと思いますし、
        そうなっていない現実には淋しさを覚えますね。

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