「リーダーは理不尽だ」と思ったなら… ②理不尽をなくす

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介護現場で働いていると自分ばかりリーダーから大変な仕事を振られていたり、風当たりが強かったりすることを感じるかもしれません。

あるいはリーダーだからといって部下の不手際の責任を一身に背負わされたり、過度な期待をされたりすることもあるでしょう。


今回はリーダーに求められる資質と、そこから導き出される「なぜ現場がうまく行かないのか」について数回に分けてお話していきます。

「リーダーとはなにか」を理解し、自分がリーダーだった場合はどう立ち振る舞えばいいのか。自分が部下だった場合はどのようにリーダーを支えればいいのかについて学んでいきましょう。

「理不尽を生むリーダー」はこうして生まれる

前回、「リーダーの資質3つ」についてお話ししてきました。

「指導」「先導」「統率」がうまく行けばそのチームへの不満はなくなりますし、リーダーの下で活動することにやりがいを感じられるようになります。

リーダーとは「ある目的・方向に向かい、先頭に立って多くの人々を教え導くことで全体をまとめて率いる人」のことであり、その資質には「指導」「先導」「統率」があります。

「指導」とは「チームの目的や方向性を部下が実行できるようになること
「先導」とは「率先して責任を負い問題解決に勤しみ、後続により良い「環境」を与えること
「統率」とは「部下を組ませることでより大きな目標・目的を達成させること」


※ 詳しくは「「リーダーは理不尽だ」と思ったなら… ①リーダーの資質を知る」にて



もしそうなっていないのであれば、

A.リーダーに3つの資質のいずれか、あるいは複数が欠けている
B.部下が「リーダーとは何か」を理解していない

二つのうちのどちらかになっていると言えます。


Aの「リーダーに資質が欠けている」、すなわち「リーダーが『リーダーとは何か』を知らない」場合、「指導」「先導」「統率」のいずれも不十分になります。


たとえば「指導」を「単に命令すればいい」と誤解しているリーダーは部下に対して高圧的になりますし、「先導」を「無理強いして部下を引っ張ればいい」と考えていれば部下の都合を考えずに強引な采配をしてしまいます。

また「統率」が集団レベルでの「指導」「先導」であることを考えれば、上記のように扱われるメンバーばかりのチームがチームとしてまとまるはずもありません。


こんなことをしていては「リーダーは理不尽だ」と思われてもなんら不思議ではありませんし、「リーダーとは理不尽なものだ」と思い込んでいると早々に部下たちは散っていきます。



ともすればリーダーは、自分が部下だった時の理不尽な経験を元に「リーダーとはこういうものだ」と考えているかもしれません。

「昔に比べれば今のほうがまだマシなのだから、こんなことで弱音を吐くのは気合が足りない」という精神論がその方のリーダー論の軸になっている可能性もあります。


そういう方にこそ理解してほしいのですが、今も昔も「理不尽」は「理不尽」です。


もし数年前に感じた理不尽をそのまま部下に振りかざすようなことになれば、そのリーダーは年数分進歩していないのです。理不尽を感じた時点で「どうすればこんな思いをしなくて済むのか」と改善思案していれば自分が理不尽をもたらす側にはならなかったのですから。


「理不尽を生むリーダー」は、リーダーの資質を知らずに自分が部下のときに改善思案しないままリーダーとなった瞬間に生まれ、

「自分が大変な目に合ったのだから部下も同じような目に合えばいい」
「それこそが仕事であり、教育であり、成長だ」


と言わんばかりに昔の理不尽を今の部下に振りかざしてしまえば、部下からの信頼を著しく損ねたうえに自身の能力不足をあらわにすることになります。


そうなった瞬間からチームは崩壊し、最後にはリーダーがその責任を取ることになります。

「理不尽を生むリーダー」は、リーダーの資質を知らずに自分が部下の時に改善思案しないままリーダーとなった瞬間に生まれる。

今も昔も変わらぬ理不尽さを「当然のこと」として振りかざせば部下は去っていき、最後にはリーダーがその責任を取ることになる。

部下は部下で「理不尽」を生み、そして「飲まれる」

ここまではリーダー側についてお話ししてきましたが、部下からリーダーに対して理不尽を生むことがあります。

それがB.部下が「リーダーとは何か」を理解していないという状態です。


これはどういう状態かというと、「部下というものは『リーダーの資質を受ける側』だと自覚していない状態」です。


自分が「指導」される側であり、「先導」される側であり、「統率」される側であること。

言い換えれば「より良い環境(先導)」の中で「チームの目的や方向性を実行(指導)」し、「より大きな目標・目的を達成させること(統率)」が部下として求められていると自覚できているかどうか。

それが自分の果たすべき役目であり、その役目を全うするために日々研鑽しているかどうかが問われているのです。仕事であればそうして役目を果たすことで『報酬』として給料をもらうことになります。


部下がリーダーに対して理不尽を生むのは、自身の役目を果たさずにリーダーばかりに「リーダーの役目」を求めたときです。


具体的には

仕事がわからない
リーダーがやってくれる/やるべき
私の責任ではない

といった言動に「部下の責任放棄」が現れます。


これはそれぞれに

「仕事がわからない」 → わからないことは自分で調べたり質問したりして理解する
「リーダーがやってくれる/やるべき」 → 仕事を任された時点で自分が責任をもつ
「私の責任ではない」 → チームに所属する以上、チームの責任は全員で分かち合う

というのが本来の姿ですから、部下はリーダーに役目を求める前にまずは自分の役目を果たすべきなのです。


それもせずに部下が「私は知らない、やらない、関係ない」という態度を取ればリーダーへの負担が増すばかりです。

また自分の立場が「いつでも逃げ出せる立場」であることを逆手に取って「私がいなくなったら困るでしょう?」とリーダーにプレッシャーを掛けるようになれば「リーダー(という立場)は理不尽だ」とリーダーに思わせてしまいます。


部下としては「これくらいは部下の特権だよね」といった軽い気持ちでそうしているかもしれませんが、そうした態度は想像をはるかに超える心理的負荷をリーダーにかけることになります。


実際僕は以前リーダーだったときに、部下のこういった態度から生まれる理不尽にさらされて心身症による心臓の痛みで倒れました。

毎秒訪れるその痛みがどれほどの苦痛で、どれほどの恐怖かを想像してもらえば「軽い気持ち」で責任放棄する恐ろしさが理解してもらえるかと思います。

(参照:想い紡ぐ介護士になるまで資格を取るって本当に大切? ⑥一線を越えてしまったら



もう一つ忘れがちなのは、そうして責任放棄する部下もいずれはリーダーになるということです。


それまで手を尽くして逃れてきたその部下も年数を重ねるごとに「逃げづらい立場」になっていき、ついには「リーダー」に任命されます。

それを機に転職を考えるかもしれませんが、転職先でも同じ能力を求められるため「リーダーの責務から逃げる」ために転職することに意味はありません。

あるいは独立・起業を計画するかもしれませんが、リーダーの責務から逃れようとする人にトップの責務が背負えるはずもないためこれもやはり意味がありません。たとえ組織人ではない個人事業主であっても同じで社会に生きる以上「自分で責任を負う」ことからはどうあっても逃れられないのです。


このことを踏まえて逃れられない状況でリーダーに任命されたとき、それまで責任放棄してきた部下は「自分がリーダーにしてきたこと」をそれまでのリーダー以上に背負うことになります。


部下の時から「リーダーはこのように扱えばいい」と周りに示し、自分がリーダーになってそれが間違いだと気づいたとしても手遅れです。

「いや、違うんだ、リーダーとはこういうものなんだ」と説明したところでチームに「リーダーに責任転嫁してもよい」という文化が根付いてしまった以上、部下はその文化に従ってリーダーとなった自分に疑いもなく責任をなすりつけてきます。


「それはリーダーのやるべきことですし、あなたも散々そうしてきましたよね」と。


このように部下がリーダーに対して理不尽を生む状態は現リーダーも救いませんし、将来リーダーとなる自分をも救いません。

そうして自分が生み出した理不尽に飲まれる様は、さながら因果応報のようです。

因果応報(いんがおうほう)とは、良い行いか悪い行いかによってそれにふさわしい報いが現われること。

因果応報 -weblio辞書-


程度の差はあれリーダーへの仕打ちが未来の自分の首を絞めるわけですから、部下は部下で「自分が求められている役目」を着実にこなしてリーダーや周囲の信頼を得る方が良いですね。

部下が「より良い環境(先導)」の中で「チームの目的や方向性を実行(指導)」し、「より大きな目標・目的を達成させること(統率)」を求められていると自覚できていなければリーダーに対して理不尽を生む。

それは将来リーダーにならざるを得ない自分に返ってくるので、部下は部下で「自分が求められている役目」を着実にこなしてしてリーダーや周囲の信頼を得る方が良い

まとめ 「リーダーは理不尽だ」とならないように

これまで話したようなことはどのような組織でも起こり得ることであり、介護・福祉分野でも変わりません。


介護現場で働く介護士さんは、先輩や利用者さんからのストレスによって傷つき「おかしいのはこの現場なんだ」と思い込んで自分の責任から逃れようとしているかもしれません。

はたまたユニットリーダーやサービス提供責任者をされている方は「部下が自分の言うことを聞いてくれない」と思い悩み、過度なストレスに体調を崩しているかもしれません。


両者に共通するのは「お互いのことをよく知らない」ということです。


リーダーとは何か。部下とは何か。
チームを基軸としたとき、それぞれの定義は「リーダーの資質」によって導き出されます。

なぜならチームを存続させるためにはチームを「統率」し、チームメンバーを「指導」「先導」する存在、すなわちリーダーが欠かせないからです。


そして。


いま現在リーダーならば「自分の背中を見て部下が学んでいる」ことを自覚して「指導」「先導」「統率」の資質を高めていくこと。

部下であってもいずれリーダーになるのだから、部下のうちからリーダーの背中をよく見て「リーダーの資質」を学んでおくこと。


そうしてリーダーと部下がお互いのことを理解した先に「理不尽のない環境」が生まれるのです。


介護ブログの他にも、介護ニュース等などを取り上げるnote、読書にまつわるアメーバブログを運営しております。



また僕が介護を考えるうえで参考になった書籍を紹介しますので、よかったら一度読んでみてください。


本からの学びは揺るぎない自信へとつながっていきます。

介護を自分の「感情」頼りにするのではなく、知識や経験に裏付けられた「事実」と併せて行うことで、介護はすべての人を豊かにしていくことができるのです。


一緒に学んでいきましょう。


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