今回は介護の派遣社員をしていたころのお話をします。
正社員ではない働き方の1シーンとして読んでもらえると嬉しいです。
派遣社員としてのチームワーク
僕が介護現場に初めて関わったのは派遣社員の時でした。
ホームヘルパー2級(今で言う介護職員初任者研修相当のもの)を取り終えた直後から派遣社員として働き始めたのですが、現場経験のない派遣社員というのは立ち位置の難しいものでした。
なにしろ仕事が満足にできないのに、派遣先が支払うお金は高いのです。
「お金のことなんて派遣社員が気にする問題じゃない」と言える人はいいですが、そこはHSPの特性を持つ僕としてはどうしても気がかりでした。
「施設は高いお金を払って僕を雇っているのに役に立てなくて申し訳ない」と。
それが苦しくて働き出して三日目で辞める決意をして派遣元の人事部の方に相談を持ち掛けたほどでした。
幸いその時に良い感じでなだめられ、次の日に忘れられない出会いがあって僕の介護士としてのキャリアは今でも無事続いています。
派遣社員で気を付ける点はまだありました。
特に気を付けなければならないのは、同じように時給で働くパートさんたちとの関係性です。
ここを見誤るとその職場では働けなくなるというのを、僕は先輩派遣社員さんの扱われ方を見て学びました。残念ながらその方は周り全員が敵となり、その職場に居続けられなくなってやめる形となってしまったのです。
その経験を通して学んだ、派遣社員として気を付けるべき点は2つです。
1つは自分の時給は教えないこと。
もう1つは「みなさんをサポートするために来たのだ」と伝えることです。
要は「波風を立てるな」というのが派遣社員に求められるチームワークなのだなぁ、と学んだのです。
派遣社員の立ち位置
そもそも派遣社員は雇用形態上「いつかはその施設から離れなければならない」宿命にあります。施設に直接雇われている方々に比べたら総合的な貢献度はどうしても低くなります。
そんな派遣社員がパートさんよりも高い時給で雇われている事実は、パートさんからすれば鼻持ちならないわけですね。
「私たちよりも仕事ができないのにお金はたくさんもらっているなんて不公平だ」と。
これが新入職員なら「いずれは施設にとって大事な存在になるんだから」という貢献度の期待値でまだ我慢できるのですが、派遣社員ではそうはいかないのです。
そういった背景を思えば、派遣社員が仕事をするにあたってはサポート役に徹するのが相応しいと考えられます。
もちろん派遣社員としての活躍ぶりが認められ、施設に正職員として迎えられるのならそれも一つの道です。
しかしすべての派遣社員に「その施設の正職員としての資質」があるわけではありませんから、辞めざるを得ない状況になっても別れを惜しまれるような立ち位置にいるのが望ましいのでしょう。
「あなたがいてくれて助かった」
「いなくなったら淋しくなるね」
「明日から仕事が大変になるけど、仕方ないよね」
僕が介護福祉士の勉強に専念するため実際に辞めるとき、このような言葉を掛けてもらえたのが今となっても派遣社員としての誇りだと思っています。
どのようにサポートしたか?
では「どのようにサポートしたか」なのですが、これは実にシンプルでした。
それはその職場で一番大変な業務を受け持つことです。誰よりも頑張っている姿を見せるのが何よりも効果的でした。
なぜかと言うと
パートさんより多くの時給をもらっているのだから、パートさんよりも働いていなければ筋が通りません。
職員さんに比べれば定時で退社しやすい環境をもらっているのだから、定時ギリギリまでは職員さんよりも働いていなければ雇用に見合いません。
これらの状況を考えると、派遣社員はどうしても派遣先に所属して働いている人々よりも頑張っている姿を見せて納得できる理由を提示しなければなりません。
表面上はどれだけ「そこまでしてくれなくてもいいんだよ」と言われても、職員さんもパートさんも感情豊かな「人」ですから、自分より良い環境で働く派遣社員が自分より手抜きをしていたら「面白くない」と感じて当然です。
「そんなことまで気にしてたら働けない」と思われるかもしれませんし、「そんなの知ったことじゃない」とお構いなしに働く派遣社員の方もいるでしょう。
決められた時間に決められたように働く。それ以外のことは関係ない、と。
その考えは個人レベルで見れば正しいのですが、施設という集団レベルで見れば調和を乱す行為に他なりません。
派遣社員はどうあっても施設から見れば外部の人間です。
そんな外から来た人間が内部の秩序を乱しそうとするなら善悪に関わらず排除されても仕方ありません。施設にとっては施設を存続させることが第一なのですから。
このような施設の論理を無視し、賃金を得るために派遣社員として働きに来たにもかかわらず勤務態度によって働けなくなってしまっては本末転倒です。
このような事情を鑑みれば、派遣先の人々に「この人がいてくれて助かる」と思わせるように働くことが派遣社員の提供できる最善のチームワークになります。
「時給がそこそこ良くて時間の自由も効く」という最高の雇用条件をいただいているのだから、働いているうちはサポート役に徹するくらいが平等なのです。
まとめ
振り返ってみると派遣社員は楽な働き方ではなかったなぁ~、と思います。
ただ僕はそれまで普通のバイトで時給720円で働いていた身でしたから、派遣社員でもらえる時給が増えたので「こんなにもらえるのだから頑張って当たり前だよなぁ」と特に不満なく働いてしました。
派遣社員になるまでに就職活動でボロボロに落とされた経験も、派遣社員で働くうえで負担を軽減させていたのだと思います。
そもそも当時は「社会人として働けるだけでも儲けもの」という状態でしたから、働き方に不満を感じるのは贅沢でもありました。
その当時の考え方ですからどうしても根性論めいたゴリ押し感が否めない内容となりましたが、普段働く中で「あ、そういえばこういう働き方をしている人もいたんだな」と思い返して踏ん張るきっかけになれたら嬉しいです。
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