ここ数ヶ月で愛知県尾張地方にある「障がいのある方が様々な形で働くカフェ」、いわゆる『福祉カフェ』を回りました。どのカフェも素敵な店構えや丁寧な対応をされており、充実した時間を過ごせました。
またそれぞれのカフェで特色や雰囲気が異なり、一つひとつに学ぶことのあるカフェ巡りとなりました。
そこで今回は福祉カフェに行った感想や、そこで学んだ『福祉』についてお話をしていきます。この記事を最後まで読むと
・福祉カフェとは何か
・愛知県尾張地方にあるカフェ4種の店構えや雰囲気、商品の感想など
・今こそ福祉カフェが社会に必要な理由
といった内容がわかりますので、ぜひ最後までお読みください。
前回の記事はこちらから
福祉カフェとは?
福祉カフェとは、障害のある人、高齢者、認知症の人とその家族などが集まり、気軽に交流できるカフェを言います。
福祉カフェには大きく分けて以下のものがあります。
【障害者支援カフェ】
障害のある人が、カフェの運営(接客や調理など)を通じて就労訓練を積む場です。
障害のある人が地域社会と交流し、働ける機会を得ることを目的としています。
【認知症カフェ(オレンジカフェ)】
認知症の人とその家族、地域住民、医療・介護の専門職などが気軽に集まり、お茶を飲みながら交流します。情報交換や相談ができる場であり、専門職への相談も可能です。
【介護予防カフェ】
高齢者が集まり、お茶を飲みながら交流したり、健康情報や介護予防に関する活動に参加したりする場です。地域で孤立しがちな高齢者の社会参加を促進し、健康寿命の延伸を目指します。
【コミュニティカフェ】
地域住民が集まり、交流を深める場として、様々なイベント(講座、音楽演奏、絵画展など)が開催されることがあります。
福祉カフェの特徴として「交流を促進する場」「情報交換・相談の場」「就労支援」などが挙げられ、全国各地で盛んに執り行われています。

愛知県尾張地方の福祉カフェ
愛知県尾張地方の福祉カフェで今回訪れたのは
・手作りパン&喫茶 ベーかりー たんぽぽ(丹羽郡扶桑町)
・ココトモカフェ 犬山今井店(犬山市)
・ cafeはなもも(春日井市)
・たまごのあしあと(稲沢市)
こちらの4軒となります。

手作りパン&喫茶 ベーかりー たんぽぽ(丹羽郡扶桑町)
「手作りパン&喫茶 ベーかりー たんぽぽ」は、社会福祉法人ふそう福祉会の就労継続支援B型の事業所となります。
こちらでは障がいのある方々が作ったパンや焼き菓子が販売されており、時間帯によっては売り切れになる商品もあります。お店のレジや商品運び等はスタッフさんが対応されるため、パンを作られている皆さんは主に調理に勤しむ形となっています。


ベーかりーたんぽぽさんは販売だけでなく喫茶スペースもあり、購入したパンを室内で食べることもできます。また時間帯に応じてそれぞれお得なセットメニューがあります。
[10:00〜16:00]
・ドリンクセット 440円(税込484円)→ドリンク+パンorデザートいずれか1つ
[10:00〜14:00]
・ランチセット 591円(税込み650円)→ドリンク+パンorデザートいずれか2つ
・ランチ&デザートセット 727円(税込800円)→ドリンク+パン2つorデザート1つ
※パンはどれでもセット可、その他は200円まで
※2025年12月時点

この中で私が選んだのはランチセットでその場でカレーパンとホットの紅茶をいただきました。紅茶は保温カバーで熱を逃さない工夫がされており、蒸らす時間がわかるように砂時計も用意されています。その為温かいまま香りが立つ紅茶をいただけるようになっています。
カレーパンもパン生地が柔らかく、辛さもほどほどで食べやすい味合いで美味しかったです。
またお店のスタッフさんの対応も物腰丁寧で、たまたまお店の様子を見に来た障がいのある方との仲睦まじいやり取りが印象的でした。機会を見てまた訪れたいと思います。


【手作りパン&喫茶 ベーかりー たんぽぽ】
営業日:火~土曜日(日、月、祝日休み) 10:00~17:00
場所:愛知県丹羽郡扶桑町高雄堂子81−1
SNS:Instagram、Facebook

ココトモカフェ 犬山今井店(犬山市)
「ココトモカフェ 犬山今井店」は、株式会社ココトモファームの系列である就労継続支援B型事業所ココトモワークスが運営するカフェです。
自家製米粉100%グルテンフリーのバウムクーヘンを主力商品とし、他にはライスバーガーや竹炭焙煎珈琲なども楽しめます。

画面中央の窓が受付となります

持ち帰りもできますが、こちらのスペースで食べることもできます
今回頼んだのは竹炭焙煎珈琲とライスバーガー。ライスバーガーは豚生姜焼きとてりやきチキンの2種類があり、今回は豚生姜焼きのライスバーガーを頼みました。
注文すると試食品のバウムクーヘン2種がサービスでもらえます。下画像左のソフトバウムはモチっと感があり、右のハードバウムは確かな食べ応えがありました。販売されているバウムクーヘンはここに味の種類も加わり、その日の気分に合わせて自由に選べるのがワクワク感があって良いですね。

ビニールの個包装に三角の切り込みが入れてあり、開封しやすいのがポイント
おそらく「切り込みを入れる」のも障害のある方々の役割の一つとなっているのでしょう

外のカフェスペースで食べるとこのような配膳に。
この日は風が強かったこともあり、障がいのある方の接客ではなかったようです
ライスバーガーは米の部分がふっくらとモチモチ感があり、生姜焼きの甘ダレとマヨネーズが合わっていました。加えて肉の風味が米とレタスに挟まれしっかりと香るので食欲をそそり、一口食べると口を止めるのが勿体無く感じました。
竹炭焙煎珈琲はホットで頼み、口の中に含むと珈琲の香りがいっぱいに広がりました。味わいは苦めで、バウムクーヘンと交互でいただくと相乗効果で楽しめる形となっていました。
食べている間に何度かスタッフさんや障がいのある方々が前を通られ「こんにちは」と明るく挨拶をしてくれました。表情に緊張は見られず、普段からお客さんが来た時には挨拶をするのが自然となっているのでしょう。
ホームページによれば「ココトモワークスの利用者様に接客業務やバウムクーヘンの試食切り・試食配り、ココトモバウムの箱詰め等のお仕事をしていただいております」との事ですので、次に来る時には彼ら彼女らの接客も受けられると良いなと思います。

【ココトモカフェ 犬山今井店】
営業日:年中無休 10:00~16:00
場所:愛知県犬山市今井宮ケ洞19-1
SNS:Instagram

cafeはなもも(春日井市)
「cafeはなもも」は、社会福祉法人養楽福祉会の「障害者福祉サービス事業たかもり」に併設された福祉カフェです。
こちらでは障がいのある方々がスタッフさんと共にドリンク等の準備や配膳などをされているカフェで、店内には障がいのある方のアート作品が展示されております。
カフェには折々で様々なアート作品が展示され、中にはアール・ブリュット展に出展された作品が飾られることもあるようです。
「アール・ブリュット」とは、もともと《生(き)の芸術》と訳され、正規の美術教育を受けず、発表や評価への願望からではなく、人間の生の根源にねざす創造の衝動から生まれてきた芸術を意味しています。フランスの画家ジャン・デュビュッフェ(1901-1985)が定義づけたこの美術の概念は、ことに日本国内において、独自の展開をしていることは注目に値します。

店内には障がいのある方々が作られた作品が並んでいます

訪問した当時は春日井市総合福祉センターに展示をされている方の作品がありました

壁にも作品が展示されています
カフェメニューはこちらになります。
和洋そろったランチの中で今回選んだのは「おにぎり弁当」。
三種の丸おにぎりに焼き魚、揚げたこ焼きに煮物、サラダがついて500円とお値打ちです。
こちらはオーダーも配膳も、障がいのある方と一緒にスタッフさんが付き添いで来られていました。オーダー時には緊張した面持ちをされていましたが、笑顔で応じるとスッと力を抜かれて表情に余裕が見られ、その後は自然体で応対してもらえました。


cafe内は音も静かで過ごしやすく、時間がゆったりと流れるような感覚でした。天井も高くガラス張りの空間で開放感もあり、紅葉の時期には色彩豊かな山々も楽しめそうです。
またメニューの中にはサイフォンを用いたスペシャリティコーヒーもあるため、平日の休暇をコーヒーと共にゆったり過ごすのも良いと感じました。折を見て、今度はスペシャリティコーヒーをいただきたいと思います。

【cafeはなもも】
営業日:月〜金曜日(毎週土日休み) 11:00~15:00
場所:愛知県春日井市高森台5-6-6
SNS:Instagram

たまごのあしあと(稲沢市)
「たまごのあしあと」は、特定非営利活動法人たまごのあしあとが運営する「からだにやさしい料理店」です。こちらは同法人が手掛ける無農薬・有機栽培の安心な野菜・果物を作った料理を提供するお店で、からだにやさしい料理で心身を癒すことを大切にされています。

駐車場は広く、停めやすい

メニューの一部。ラインナップから「からだにやさしい」ことが伺われます
私が訪れたのが14時過ぎだったこともあり、同法人で働かれている障がいのある方々の憩いの時間と重なりました。皆さんの仲が良く、食事をしながら会話をしている風景が私の目にはとても温かく映りました。
オーダーや配膳も仕事としてされているようで、初めて見る私をやや警戒しながらもしっかりと注文を聞き、オーダーした有機コーヒーを運ばれていました。また最初に頼んだ大麦コーヒーが品切れで、それを伝えにくる仕草が愛嬌があってほっこりしました。
有機コーヒーは香りが良く、口当たりも柔らかで刺激が少ない感触。
「からだにやさしい」の言葉通りの味わいで、パウンドケーキも甘さと素材の味が程よく合わさった、豊かなものでした。
今回は人から紹介してもらったご縁で訪問させていただきました。
今度訪れる時は大麦コーヒーを飲んでみたいと思います。

【たまごのあしあと】
営業日:火曜日~土曜日(日、月休み ※イベント営業あり) 11:00~15:00
場所:愛知県稲沢市日下部南町4丁目32−2
SNS:Instagram

【おわりに】福祉カフェを巡って感じられた「生きる喜び」という瑞々しさ
今回は愛知県尾張地方のカフェを4軒巡り、それぞれに実現したい目標・理念の為、その場にいる全員がお互いの力を持ち合って今日を生きる姿に励まされました。
改めて福祉とは「しあわせ、ゆたかさ」という意味であり、「福」「祉」はそれぞれ
となることからも、具体的・物質的な「しあわせ、ゆたかさ」だけでなく抽象的・本質的な部分での「しあわせ、ゆたかさ」も含むことは明らかです。

ひるがえって現代社会で語られる「しあわせ、ゆたかさ」は具体的・物質的な意味合いが強く、そうした「しあわせ、ゆたかさ」を追い求めた社会が限界を迎えようとしていることは国内外のニュースを追うだけでも明白でしょう。
この社会において「生きていられるのは当たり前」でも何でもなく、私たち一人ひとりが選択を誤れば明日生きるのも困難となる現実があります。それはコロナ禍において命を守る選択をしてきた私たちが痛感したはずの思いであり、現状を鑑みれば改めて冷静に見極める時期だとわかるはずです。
世界が資本主義に則る以上、私たちも状況的に具体的・物理的な「しあわせ、ゆたかさ」を追わざるを得ませんし、感覚的にも今の豊かな生活を手放せる人はいないでしょう。そうした現実的な豊かさを得るためには自らを犠牲にしてでも働いて、働き尽くすのが人生だと完遂された方も多いかと思います。
しかし本来具体的・物理的な豊かさを手にすることは、同時に抽象的・本質的な「しあわせ、ゆたかさ」を手放すことではないはずです。社会が発展する以上、かつては対立軸にあった概念も統合・昇華させた新たな価値観へと変えていくのが常道ではないでしょうか。
その上で何を幸せに、豊かに感じるか。昨今のニュースを見ていると生命の価値を置き去りにした論理ばかりが先行しているように見えます。
テクノロジーにおいては『(生成)AIの台頭』が言われていますが、中にはAI恋愛やAI故人といった倫理的課題を含むものも生み出されています。また「出産するヒューマノイド」といった研究も進められており、「生きるとは何か」という人類普遍の問いが改めて浮き彫りにされています。

その問いの答えを、今回訪れた福祉カフェで垣間見たように感じます。
その場にいる方々が分け隔てなく役割を持ち、その役割を果たせる喜びを分かち合うこと。
それが「生きている」という実感を与え、今日明日と生命を紡ぐ営みの原動力となること。
一人ひとりが集まり『生命の価値が保障される場』を作り、お互いにありのままでいられること。
福祉カフェとはこの社会において「生命の価値が保障される福祉実践の場」であり、「生きる喜び」を間近に、瑞々しく感じられる場所です。その場所で、
「私たちは肉体と精神の両方を持った人間であり、そのどちらをも満たしていく上で自分たちの『場』を創り、守り、そして次の世代へと紡ぐのが『生きる』ということなのだ」
と実感できることでしょう。
ですから、合理性や生産性、あるいは社会の変化スピードに追いやられて心が疲れてしまったと感じる方は、今回ご紹介した福祉カフェに一度足を運んでみてください。
美味しいものと心温まる雰囲気があなたを待っていることでしょう。

今回ご紹介した所以外にも素晴らしい福祉カフェがたくさんあります。
写真はココトモ茶屋犬山梅坪店の玄米珈琲セット。値段とクオリティのバランスが取れた逸品です。





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