これまでのシリーズでは『【改訂版】本当の自由を手に入れる お金の大学』(両@リベ大学長著)の考え方をもとに、「①家計改善」で今すぐ着手できる固定費の見直しを、「②お金を育てる」で少額から始められる新NISA・iDeCoについてお伝えしてきました。
土台を固め、種をまいたら、いよいよ次は「稼ぐ力」です。今回はシリーズ第3弾として、収入そのものを増やしていくという少し骨太なテーマに向き合います。
この記事では『お金の大学』が説く「稼ぐ力」の基本的な考え方と、介護・福祉職ならではの収入アップの方法について、介護福祉士として15年以上現場に携わってきた経験を交えてお伝えします。
今回の記事を読むことで
- なぜ「稼ぐ力」は、5つの力の中でも時間をかけて向き合うべきテーマなのか
- 2026年、大きく変わった処遇改善加算の仕組み
- 資格取得によって、給料がどう変わっていくのか
- 転職という選択肢の、リアルなメリットと注意点
- 副業という、もう一つの「稼ぐ力」の伸ばし方
これらの内容がわかり、「給料は勤務先が決めるもの」という受け身の感覚が、「自分の手で伸ばしていける部分もある」という実感に変わるきっかけになれば嬉しいです。
※本記事は『改訂版 本当の自由を手に入れる お金の大学』(両@リベ大学長著/朝日新聞出版)の考え方を参考に、介護・福祉職向けの視点を加えて構成しています。処遇改善加算の配分方針や資格手当の金額は事業所によって異なるため、詳細は必ず勤務先にご確認ください。
なぜ「稼ぐ力」には、時間をかける必要があるのか
『お金の大学』では「貯める力」「増やす力」に比べて、「稼ぐ力」は成果が出るまでに時間がかかる力だと説明されています。固定費の見直しは今日にでも着手でき、新NISAも少額からすぐに始められますが、資格取得や転職といった「稼ぐ力」を伸ばす取り組みは、数ヶ月から数年単位の準備期間を必要とします。
だからこそ、シリーズの中でもこの「稼ぐ力」は3番目に位置づけられているのです。すぐに結果が出ないからといって、後回しにしてよいわけではありません。むしろ時間がかかるからこそ、今日から少しずつ動き出す価値があります。
特に介護・福祉職は、他の業界と比べても「資格」「制度」「経験」の積み重ねが給料に直結しやすい業界です。ここからは、介護・福祉職ならではの「稼ぐ力」の伸ばし方を、4つの角度から見ていきましょう。

①2026年、大きく変わった処遇改善加算を正しく理解する
介護職の給料について語るうえで欠かせないのが「処遇改善加算」です。しかし、この仕組みを正確に理解している方は、現場でも決して多くありません。
そもそも、処遇改善加算とは何か
処遇改善加算とは国が介護報酬に上乗せする形で事業所に資金を渡し、それを職員の賃金改善に充ててもらう制度です。もともとは「処遇改善加算」「特定処遇改善加算」「ベースアップ等支援加算」という3つの加算に分かれていましたが、事務手続きが複雑だという現場の声を受け、2024年6月に「介護職員等処遇改善加算」として一本化されました。
2026年6月にはこの加算がさらに拡充されました。対象の介護職員は定期昇給分と合わせて、最大で月1.9万円の賃上げを目指せる設計になっています。手取りに換算すると、月1万3,000円から1万5,000円程度の増加が目安とされています。
ここが重要――「国が個人の給料を決めているわけではない」
処遇改善加算について、現場で特に誤解されやすいポイントがあります。それは、国が決めているのはあくまで「事業所に渡す総額」であり、個人の支給額を決めているわけではないということです。
事業所は、資格や勤続年数、役職によって支給額に差をつける「傾斜配分」を行うことが認められています。つまり、同じ処遇改善加算を算定している事業所でも、実際に手にする金額は、あなたの資格や勤続年数、そして事業所の配分方針によって変わってくるのです。
「なぜ自分の給料は上がらないのか」と感じたときは、まず勤務先がどの区分の加算を取得しているか、そしてどのような配分方針を取っているかを確認してみることをお勧めします。処遇改善加算に関する情報は、事業所の運営規程やホームページで公開されていることが多く、面談などの機会に人事担当者に尋ねてみるのも一つの方法です。

②資格取得は、今もなお有効な「稼ぐ力」の伸ばし方
資格による給料の差は、介護業界において依然として大きな意味を持っています。
介護福祉士の資格を持つ職員の平均年収は、資格を持たない職員と比べて高い傾向(年間約70万の差)にあり、資格手当や役職者としての手当が上乗せされることが主な要因です。無資格・未経験からでも働き始められるのがこの業界の特徴ですが、初任者研修、実務者研修、介護福祉士とステップを踏んでいくことで、手当や役職、年収の向上が見込めます。
さらにその先には、介護支援専門員(ケアマネジャー)という選択肢もあります。介護福祉士としての実務経験5年以上かつ従事日数900日以上という条件を満たせば、働きながら受験資格を得ることができ、資格手当の目安は月1万円から3万円程度、介護福祉士よりも一段高い水準に設定されるのが一般的です。
資格取得を検討する際、知っておきたい注意点
ただし、ここでお伝えしておきたいことがあります。「ケアマネになれば給料が上がる」と一般的には言われますが、実際には夜勤手当がなくなることで、トータルの年収がかえって下がってしまうケースもあります。ケアマネジャーは基本的に夜勤のない働き方になるため、夜勤手当を多く得ていた方にとっては、資格手当の増加分だけでは相殺しきれないこともあるのです。
資格取得を目指す際には「資格手当がいくら増えるか」という視点だけでなく、「今の働き方に含まれる手当が、資格取得後にどう変化するか」まで含めて勤務先に確認しておくことが大切です。

③転職という選択肢――年収アップの実態と注意点
同じ資格、同じ経験年数であっても勤務先によって給料には差が生まれます。介護職の給料は雇用形態や地域、施設の種類によって幅が大きいことが知られており、正職員の給与額の幅は決して小さくありません。
特に特別養護老人ホームや介護老人保健施設といった入所系の施設は、比較的給与水準が高い傾向にあります。また、同じ資格を持っていても処遇改善加算の配分方針が手厚い事業所を選ぶことで、結果的に年収が変わってくることもあります。
転職を考える際には、求人票の額面だけでなく、以下のような点も併せて確認しておくとよいでしょう。
- 処遇改善加算をどの区分で取得しているか
- 資格手当・夜勤手当など、手当の内訳
- 賞与の支給実績(額面だけでなく、実際の支給回数や過去の実績)
転職エージェントの中には介護業界に特化したサービスもあり、こうした条件面の交渉や情報収集を代行してもらえる場合もあります。一人で求人票を読み比べるより、専門家の視点を借りることで、見落としを防げることもあります。

④副業という、もう一つの「稼ぐ力」
勤務先の給料を上げる方法以外にも「稼ぐ力」を伸ばす道はあります。それが、このブログでもたびたびお伝えしてきた副業という選択肢です。
これまでの「介護×副業」カテゴリでは、ブログという働き方から傾聴力を活かしたオンライン相談、そして発信を続けるためのネタの見つけ方まで、様々な角度から副業についてお伝えしてきました。
広義の税金を財源とする介護保険制度に則った仕事で給料をもらう内は「ベースアップ」と「増税」を繰り返した末に、自分を含めた国民全体を貧しくする道のりを歩むようになること。こちらを背景に自分の収入源を作る副業について、まつわる法や副業の種類、介護職に適した副業の種類、その中でもブログ運営をお勧めする形で紹介しました。
介護・福祉職としての知識や経験は、勤務先の外でも価値を発揮できます。「稼ぐ力」は必ずしも今の職場の中だけで完結させる必要はないのだという視点を、ぜひ持っておいてください。
まとめ――土台があるからこそ、稼ぐ力は活きてくる
「稼ぐ力」は5つの力の中でも、結果が出るまでに最も時間がかかる力です。しかし、これまでお伝えしてきた「貯める力」で足元を整え、「増やす力」で種をまいてきたあなたにとって、この「稼ぐ力」で得た収入はより大きな意味を持つはずです。
処遇改善加算の仕組みを正しく理解すること、資格取得という選択肢をメリットだけでなく注意点まで含めて検討すること、そして転職や副業といった勤務先の外にも目を向けてみること。これらはどれも、今日からすぐに結果が出るものではありませんが、確実にあなたの未来を変えていく一歩になります。
介護は頑張るものではなく、続けるもの。
そしてお金と向き合うことも同じように、焦らず、しかし着実に、続けていきましょう。
今回の話に興味が出てきたら
今回取り上げた『【改訂版】本当の自由を手に入れる お金の大学』(両@リベ大学長著)は、累計200万部を超えるベストセラー。
お金にまつわる力を「貯める」「稼ぐ」「増やす」「守る」「使う」の5つに分類し、イラスト付きでわかりやすく解説した一冊です。専門用語の多いお金の本にありがちな難しさがなく、初めて家計や資産形成を学ぶ人でもすんなり読み進められます。
介護の仕事は待遇面での悩みを抱えやすい業界でもあります。だからこそ、
- 「貯める力」で日々の家計に余裕を持たせる
- 「増やす力」で将来の備えを少しずつ始める
- 「守る力」で介護離職や収入減のリスクに備える
といった知識は、介護職として働く方にも、ご家族の介護をしながら生活設計を考える方にも役立ちます。
「お金の知識がないから」と後回しにしてきた方も、この一冊から少しずつ「お金との付き合い方」を学び直してみてはいかがでしょうか。
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