お金に悩む「手取り15万からの介護士」に伝えたい『お金の大学』の話 ②お金を育てる

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介護×お金
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前回の記事「お金に悩む『手取り15万からの介護士』に伝えたい『お金の大学』の話 ①家計改善」では、累計発行部数200万部を超えるベストセラー『【改訂版】本当の自由を手に入れる お金の大学』(両@リベ大学長著)の考え方をもとに、収入を変えずにすぐ着手できる「貯める力」についてお伝えしました。


固定費の見直しに取り組んだ方の中には、「じゃあ、浮いたお金はどうすればいいの」と感じた方もいるのではないでしょうか。

そこで今回はシリーズ第2弾として、「増やす力」についてお伝えします。「投資なんて、お金に余裕がある人がやることでは」と感じている方にこそ、読んでいただきたい内容です


今回の記事を読むことで


  • なぜ「稼ぐ力」より先に「増やす力」を鍛えるべきなのか
  • 介護・福祉職こそ知っておきたい、退職金制度のリアルな実態
  • 新NISAの基本と、月1,000円からでも始められる考え方
  • iDeCoが「退職金代わり」になり得る理由
  • 始める前に、必ず知っておきたい注意点



これらの内容がわかり、「投資は自分には縁がない」という感覚が、「少額からでも、今日から始められる」という実感に変わるきっかけになれば嬉しいです。


※本記事は『改訂版 本当の自由を手に入れる お金の大学』(両@リベ大学長著/朝日新聞出版)の考え方を参考に、介護・福祉職向けの視点を加えて構成しています。投資は元本を保証するものではありません。制度の詳細や実際の運用については、金融機関や専門家にもご確認の上、ご自身の判断で行ってください。


なぜ「稼ぐ力」より先に、「増やす力」なのか

『お金の大学』では、お金に困らない自分らしい生き方を実現するために

「貯める」→支出を減らす力
「増やす」→資産を増やす力

「稼ぐ」→収入を増やす力
「使う」→お金からより高い価値を引き出す力
「守る」→資産を減らさない力

という5つの力を鍛えることの大切さが説かれています。

この中で「稼ぐ力」を伸ばすための転職や副業は、結果が出るまでに時間がかかり、途中でつまずいてしまう人が少なくありません。一方で「増やす力」、つまり新NISAなどの制度を使った投資は、初心者でも仕組みさえ理解すれば、比較的早い段階から取り組めるという特徴があります。

これは資格取得や転職の準備に十分な時間を割きにくい介護・福祉職にとって、非常に理にかなった順番です。「稼ぐ力を伸ばす前に、まず今ある少しのお金を働かせる仕組みを作っておく」という発想の転換が、今回お伝えしたいことの核心です。


介護・福祉職こそ知っておきたい、退職金のリアルな実態

「増やす力」がなぜ重要なのか。それを理解するために、まず介護・福祉職の退職金事情についてお伝えしておきたいことがあります。


社会福祉法人で働く場合、退職金制度としては、

・独立行政法人福祉医療機構が運営する「社会福祉施設職員等退職手当共済制度
中小企業退職金共済制度

などが利用されることが一般的です。これらの制度では、掛金は法人側が負担する仕組みになっており、職員の給与から天引きされることはありません。

しかし、ここで注意しておきたいのは、退職金制度の有無や充実度は、勤務先の法人によって大きな差があるという現実です。特に小規模な事業所や設立から日が浅い法人ほど、退職金制度が整っていない、あるいは支給額が数万円程度にとどまるケースも珍しくありません。

また、厚生労働省は2026年7月、介護・福祉や建設などの退職金共済制度について持続可能性を確保するための見直し議論を開始しています。「長く勤めれば、いずれまとまった退職金がもらえるはず」という前提に頼りきってしまうのはリスクがあります。


これらの背景を踏まえ、勤務先の退職金制度が充実しているかどうかにかかわらず、自分自身の手で老後資金を育てていく仕組みを持っておくことが、これからの時代にはますます大切になってきます。


「増やす力」の柱、新NISAをやさしく理解する

『お金の大学』が「増やす力」の入り口として勧めているのが、2024年からスタートした新NISA制度です。

「NISA」と「新NISA」とは?

まずNISAとは、株式や投資信託などで得た利益に税金がかからなくなる国の少額投資非課税制度のことです。通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使って得た利益には税金がかかりません。この「非課税」という特典が、NISAという制度の最大の特徴です。


2023年までのNISA(ここでは「旧NISA」と呼びます)には、「一般NISA」と「つみたてNISA」という2種類の制度があり、どちらか一方しか選べませんでした。非課税で保有できる期間にも期限があり、一般NISAは5年間、つみたてNISAは20年間と定められていました。


しかし2024年1月から、この制度が大きく生まれ変わりました。それが「新NISA」です。主な変更点は、次の3つに整理できます。

  • 非課税で保有できる期間が、無期限になった:以前は「〇年後には課税口座に移すか、売却するか」を考える必要がありましたが、新NISAでは期限を気にせず、じっくり長期で資産を育てられるようになりました
  • 年間に投資できる金額が、大きく広がった:つみたて投資枠は年間120万円、成長投資枠は年間240万円まで利用でき、併用すれば年間最大360万円まで投資できます
  • 一般NISAとつみたてNISAが一本化された:新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という2つの枠が用意され、この2つを同時に利用することができます

旧NISAで投資していた方も心配は不要です。旧NISAで保有している商品は、それぞれの非課税期間が終わるまでそのまま非課税で運用を続けられ、新NISAの非課税枠とは別枠で管理されますまだ投資を始めていない方であれば、今は「新NISA」だけを理解しておけば十分です


新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類がありますが、まず始めるのであれば「つみたて投資枠」で十分です。この枠で購入できる投資信託は、長期・積立・分散投資に適していると金融庁が認めた商品に絞られているため、投資初心者にとって選びやすく設計されています。

商品選びで意識したいこと

投資信託には、「インデックスファンド」と「アクティブファンド」という2つのタイプがあります。インデックスファンドは、市場全体の値動きを示す指数に連動する運用方法で、値動きがわかりやすく、手数料(信託報酬)も低い傾向にあります。専門的な知識に多くの時間を割くのが難しい方であれば、まずはこのインデックスファンドを選ぶのが素直な選択です。

とはいえ、いざ選ぼうとすると似たような商品が数多く並んでいて迷ってしまうものです。ここでは、選ぶ際に押さえておきたい3つの基準をお伝えします。

①信託報酬(手数料)の低さを確認する

投資信託は保有している間、信託報酬という運用コストが毎年かかり続けます。この割合はわずかな差に見えても、何十年という長期にわたって積み立てていくと、最終的な資産額に大きな影響を与えます。

同じような値動きを目指す商品であれば、信託報酬がより低いものを選ぶのが基本です。中でも「eMAXIS Slim」シリーズは業界最低水準の運用コストを目指す方針を掲げており、初心者が最初に検討する候補としてよく挙げられています。

②純資産総額の大きさを確認する

純資産総額とは、その投資信託にどれだけの資金が集まっているかを示す指標です。この金額が小さすぎるファンドは、運用が途中で終了してしまう「償還」のリスクがあるといわれています。純資産総額が右肩上がりに増え続けている、規模の大きな商品を選んでおくと安心です。

③何に投資する商品なのか、投資対象を理解する

商品を選ぶ際、名前や人気度だけで選んでしまうのではなく、「自分が積み立てているお金は、結局何に投資されているのか」を理解しておくことが大切です。


投資信託は日本の株式に投資するもの、アメリカなど特定の国の株式に投資するもの、世界中の株式にまとめて分散投資するものなど、対象とする範囲によって特徴が異なります

投資対象が幅広く分散されている商品ほど、特定の国や地域の景気に大きく左右されにくいという傾向があります。一方で、特定の国や地域に絞った商品は、その国の成長がそのまま自分の資産に反映されやすい分、値動きの振れ幅も大きくなる傾向があります。

投資対象を理解しておく必要があるのは、リスクに対処するため

なぜ、これを理解しておく必要があるのでしょうか。それは、値動きが大きくなったときに、慌てて売却してしまうことを防ぐためです。「なんとなく人気だから」という理由だけで選んでしまうと、値下がりした際に「こんなはずでは」と不安になり、本来であれば長期で育てるはずだったお金を、悪いタイミングで手放してしまいかねません。

自分が選んだ商品がどんな値動きの特徴を持つ傾向にあるのかを事前に理解しておくことで、多少の値下がりがあっても「想定の範囲内だ」と落ち着いて向き合うことができます。これは、長く投資を続けていく上で、地味に見えて非常に大切な心構えです。


商品選びに迷ったときは、証券会社のサイトに掲載されている商品の説明資料(目論見書)に目を通し、「何を対象にしているか」「過去にどのような値動きをしてきたか」を確認する習慣をつけておくと安心です。


「月1,000円」から始めていい

「投資はまとまったお金がないとできない」というイメージを持っている方も多いかもしれません。しかし実際には、ネット証券であれば月100円からでも積立を始められます。大切なのは金額の大きさではなく、「無理のない金額で、まず始めてみる」ということです。

例えば夜勤明けの1回分の外食を我慢する程度の金額でも、それを毎月コツコツ積み立てていくことに意味があります。慣れてきたら金額を増やす、逆に家計が厳しい月は減らすといった調整も、後から自由にできます

口座開設の手続きもスマートフォンと本人確認書類があれば、10分程度で申し込みが完了するほど簡単になっています


退職金代わりにもなる、iDeCoという選択肢

新NISAと並んで知っておきたいのが、iDeCo(個人型確定拠出年金)です。

iDeCoは自分で掛金を拠出し、自分で運用方法を選んで老後資金を育てていく制度です掛金が全額所得控除の対象になるため、毎年の所得税・住民税の負担が軽くなるという、新NISAにはないメリットもあります。

介護・福祉職の掛金上限額

iDeCoに拠出できる掛金の上限額は働き方によって異なります。社会福祉法人などに勤める会社員(国民年金の第2号被保険者)の場合、勤務先に企業年金がなければ月額2万3,000円、企業年金があれば月額2万円が上限となるのが現行の基本的なルールです。ご自身の勤務先に企業年金があるかどうかは、人事や総務の担当者に確認しておくと確実です。

最低金額は月5,000円からで、1,000円単位で自由に設定できます。無理のない範囲で少額から始め、収入や生活の状況に合わせて、後から金額を見直すことも可能です。

具体的な節税効果のイメージ

iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象になります。

たとえば月2万3,000円(年額27万6,000円)を上限まで拠出した場合、年収や税率によって差はあるものの、年間数万円規模の節税効果が期待できるケースもあります。これを何十年と続けていけば、節税額の合計は決して小さなものではありません。

「積み立てながら、同時に税負担も軽くなる」という点は、新NISAにはないiDeCoならではの大きな魅力です

大きな特徴は「60歳まで引き出せない」こと

iDeCoの最大の特徴は、原則として60歳になるまで引き出せないという点です。一見、不便に思えるかもしれませんが、これは裏を返せば、簡単には手をつけられない「自分専用の退職金」を、自分の意思で作っていける制度だということです。勤務先の退職金制度が心もとないと感じている方にとっては、まさにその不足分を補う役割を果たしてくれます。

生活費や急な出費に使うためのお金と、老後のために育てるお金とを、はっきり分けて考えられるようになるという意味でも、この「引き出せない」という制約は、長い目で見ればむしろ資産形成の助けになってくれます。

毎月かかる手数料も、事前に知っておく

iDeCoには、口座を開設・維持するための手数料が毎月かかります。国民年金基金連合会への手数料に加え、利用する金融機関によって異なる手数料が上乗せされる仕組みで、年間でおおよそ2,000円前後の負担が発生するのが一般的です。

金額は決して大きくありませんが、あらかじめ知っておくことで、「思っていたより手数料がかかった」という戸惑いを防ぐことができます。

制度は少しずつ、より使いやすく変わってきている

iDeCoはより多くの人が活用しやすい制度になるよう、たびたび見直しが行われています。今後、掛金の上限額がさらに引き上げられる予定や、加入できる年齢の上限が広がる方向性も示されています。

「今の情報がすべて」と思い込まず、制度が変わるたびに、自分に合った活用方法を見直していく姿勢を持っておくとよいでしょう


始める前に、必ず知っておきたい注意点

投資は「余剰資金」で行うことが大原則

新NISAもiDeCoも、あくまで長期的な資産形成のための制度です。生活費や、すぐに使う予定のあるお金まで投資に回してしまうと、いざという時に困ってしまいます。

前回お伝えした「貯める力」で固定費を見直し、まずは生活防衛資金(急な出費に備えるお金)を確保した上で、余った分を投資に回すという順番を守ってください。

元本保証ではないことを理解しておく

投資信託は預金とは異なり、運用の結果によって元本が保証されているものではありません。短期的には値下がりする局面もありますが、長期・積立・分散という投資の基本を守ることで、リスクを抑えながら資産を育てていくことができます。

「絶対に増える」という考え方ではなく、「時間をかけて育てる」という心構えで向き合うことが大切です

「絶対に儲かる」という言葉には要注意

金融機関の窓口などで、手数料の高い商品を勧められる場面もあります。「元本保証で高い利回り」といった甘い言葉には、詐欺まがいの商品が潜んでいることもあります。この点については、シリーズの後半、「守る力」の回で改めて詳しくお伝えする予定です。


まとめ――小さな種をまくことから、始めていく

「投資なんて、自分には縁のない話」。そう感じてきた方も、少なくないはずです。

しかし、退職金制度が法人によって大きく異なるという現実がある以上、自分自身の手で将来に備える仕組みを持っておくことは、決して特別なことではなく、むしろこれからの時代を生きる上での当たり前の備えになりつつあります。


前回お伝えした「貯める力」で固定費を見直し、そこで生まれた余裕を今度は「増やす力」で少しずつ育てていく。月1,000円からでも構いません。まずは小さな種をまくことから、始めてみてください。

介護は頑張るものではなく、続けるもの。
そしてお金を育てることも、同じように焦らず、コツコツと続けていきましょう。


今回の話に興味が出てきたら

今回取り上げた『【改訂版】本当の自由を手に入れる お金の大学』(両@リベ大学長著)は、累計200万部を超えるベストセラー。

お金にまつわる力を「貯める」「稼ぐ」「増やす」「守る」「使う」の5つに分類し、イラスト付きでわかりやすく解説した一冊です。専門用語の多いお金の本にありがちな難しさがなく、初めて家計や資産形成を学ぶ人でもすんなり読み進められます。


介護の仕事は待遇面での悩みを抱えやすい業界でもあります。だからこそ、

  • 貯める力」で日々の家計に余裕を持たせる
  • 「増やす力」で将来の備えを少しずつ始める
  • 「守る力」で介護離職や収入減のリスクに備える

といった知識は、介護職として働く方にも、ご家族の介護をしながら生活設計を考える方にも役立ちます

「お金の知識がないから」と後回しにしてきた方も、この一冊から少しずつ「お金との付き合い方」を学び直してみてはいかがでしょうか。

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