自分と向き合おう! ②検証してみよう

メモの魔力

以前の記事「介護士が自分と向き合わないとどうなる?」で、自己分析について


「分析→検証→実践」(どうだったか→どういうことか→どうしていくか)

という流れで行っていくとお話ししました。

それでおおよその説明をしたつもりだったのですが、
友人から「検証とか言われてもイメージが湧かない」と言われました。

なので、前回に引き続き「分析・検証・実践」のうち「検証」について、僕が行っているやり方をお話していきます。

検証について

まずは「検証とはなにか」について共有していきましょう。

検証(けんしょう)とは、事実を確かめることである。

検証 ‐Wikipedia‐

検証とは、しっかり調べて事実を確認すること、および、その確認のために行う作業のことである。一般的には、真偽が疑われる状態の事柄の真偽を確定させるための調査、あるいは、仮説が正しいことを証明するために行われる計算や考察など指す。

検証 ‐Weblio辞典‐

こうして眺めてみると、「自分が見出した『事実』」が正しいかどうかを確認するのが検証することだと言えそうですね。


前回の記事「自分と向き合おう! ①分析してみよう」では、「事実」を「誰にでもあてはまる現実」だと定義し、その事実を探るには「ありのままの現実(物事)」から「自分の感情」を差し引くこと、とお話ししました。

そうして浮き彫りになった「事実」はまだ「自分一人にとっての事実」であり、おぼろげです。
別の人から見れば事実ではない可能性があるわけですね。


この「自分だけの事実」を「誰にとっても当てはまる現実」にするために「本当に事実かどうかを確かめる」ことが「検証する」ということになります。

「具体」と「抽象」

では、自分だけの事実を誰にも当てはまる現実にするためには何をすればいいのでしょうか。
このことを考えるにあたって重要になるのが「具体と抽象」になります。


「具体」と「抽象」。
一つずつ見ていきましょう。

具体とは、人間の感覚でとらえられるものであること。形や内容を備えていること。⇔ 抽象

具体 ‐weblio辞典‐

これだけ聞くと「なにがなにやら」という感じですね。

目の前の出来事を「これってどういうことなんだ?」と調べてその内容や原因を明らかにしたものが「具体」と言えそうです。


「具体」を細かく読み解いていくと味わい深いものなのですが、ここでは「自分だけの事実」という形に定義しておきましょう。

この事実は自分の感覚が捉えている現実であり、自分が捉えている範囲で形や内容を備えています。
前回のクッキーの画像の例で言えば「おいしそうなクッキー」という捉え方が「具体」と言えますね。

抽象とは、事物や表象を、ある性質・共通性・本質に着目し、それを抽(ひ)き出して把握すること。⇔ 具体

抽象 ‐weblio辞典‐

抽象は、具体よりもさらに難しい内容かもしれません。

ある具体的な事実から「これってこういうことが言えるんじゃないかな?」というものを見つけ出すのが「抽象」と言えそうですが、これでピンとくるか来ないかは普段から物事を抽象的に考えられているかによります。


抽象で見つけ出された「こういうことが言える」というものは、それを見つけ出す元となった事実だけでなく、同じような事実にも当てはまることがあります。


上にあげたクッキーの例で言えば「おいしそうなクッキー」という具体的な事実から「クッキーの画像はおいしそうに見えるようだ」ということを見つけ出すことが出来ます。

であれば「クッキーだけでなく他のお菓子でも同じことは言えないだろうか」と考えてみる。
「たとえばケーキでも同じように画像を見るだけで『おいしい』と感じるのではないか」と。

もし上の画像を見て「おいしそうなケーキだなぁ」と思われたのなら、この時初めて「クッキーだけでなく他のお菓子でも同じことが言える」と証明されます。

もちろん前回同様ケーキが苦手な方やアレルギーの関連で食べられない方もいるかと思いますので「すべての人に当てはまる」わけではありませんが、クッキーだけの場合に比べれば「お菓子の画像を見ればおいしそうに感じる」ことは適用される範囲が広がっていますね。


このとき、「クッキー」に対し「お菓子」のほうが「事物や表象を、ある性質・共通性・本質に着目し、それをひき出して把握する」こと、すなわち「抽象」化できている、と言います。

「具体」と「抽象」の関係性

ここまでの話をまとめると

具体
目の前の出来事を「これってどういうことなんだ?」と調べてその内容や原因を明らかにしたもの

例)クッキー

抽象
ある具体的な事実から「これってこういうことが言えるんじゃないか?」という多くのものに当てはまるものを見つけ出す
こと

例)クッキーに対して「お菓子」

こうして見返すと「抽象」は多くのものに当てはまる分、「具体」との関係性(相対性)によって成り立っていることが見えてきます。


上の例ではクッキーという「具体」があって、その関係性においてお菓子という「抽象」が成り立っているのです。

ただ「お菓子」単体で見れば「具体」的で、もしあなたが「お菓子買ってきて~」と頼まれても迷うことなく「お菓子」を買うことが出来ますね。

これがもし「食べ物」という話になってくると、あなたはそれが「お菓子」のことなのか、「肉」や「魚」、「野菜」などのことなのかがわかりにくくなると思います。


このように「抽象」の度合いが増すほど「具体」からは遠ざかり、すぐには「これのことだ」とはわからなくなっていきます。

当てはまるものが多くなる分、限定することがむずかしくなるわけですね。

具体 ←   クッキー  <  お菓子  <  食べ物     → 抽象

イメージとしてはこのような感じになります。

左に行くほど「具体」となり、より「なにか」を限定できるようになります。
右に行くほど「抽象」となり、より「多くに当てはまるもの」になります。


たとえば「クッキー」は「お菓子」でもあり、食べ物でもあります。

「お菓子」は「食べ物」ではありますが、「クッキー」とは限りません。
それはもしかしたら「ケーキ」かもしれませんし、他のものかもしれません。

「食べ物」は「お菓子」とも「クッキー」とも限りません。
「肉」や「魚」、「野菜」の可能性もあるわけですから、「クッキー」と限定することはできないのです。

このように考えられることが「具体」と「抽象」を理解していることとなります。


目の前の出来事を分析し、それが他のものと比べて「具体」的なのか「抽象」的なのか。
それを調べる営みが「検証」なのです。


「具体」や「抽象」についてもっと詳しく知りたい方は、細谷功さんの著書

具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ 
「具体⇔抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問

の2冊がお勧めです。


順序としては「具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ 」を先に読んでから「「具体⇔抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問」を読むと理解が深まるかと思います。


なぜなら「具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ 」はイラスト・図解によって「目で見てわかる」くらいわかりやすく「具体」と「抽象」を説明してもらえるからです。


一方「「具体⇔抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問」は「トレーニング」と言うだけあって「具体」と「抽象」を日常で実際に使えるほど詳しく教えてもらえます。



「分析・検証・実践」において「具体」と「抽象」という考え方はなくてはならないものです。


多くの方はこの「具体」と「抽象」を理解していないからこそ、日常的に誤解を生んだり巻き込まれたりしてストレスを抱えてるように見えます。

また僕が友人・知人や職場の方に相談を受けるときも、この二つを理解してると「悩みごとの本質」が見えてくるため解決に導きやすくなっています。


これを機に学んでもらえると嬉しいです。

まとめ ~検証を重ね、「本質」を見つける~

長くなりました。もうひと踏ん張りです。


自分だけの事実という「具体」から誰にでも当てはまる現実という「抽象」へ変えていくためには、「分析」によって「事実」と「感情」を切り分ける必要があります。


なぜなら事実を元に生まれた「感情」はその人固有のもの、すなわち「具体」になりやすく、感情から切り離された「事実」は多くの人に当てはまる「抽象」になりやすいからです。
(参照:自分と向き合おう! ①分析してみよう 「事実と感情を分ける」考え方

クッキーの例で言えば「クッキーの画像を見て『おいしそう』と感じた」というのは「具体」であり、「クッキーの画像がある」というのが具体に対しての「抽象」になります。


このように「自分だけの事実」から「誰にでも当てはまる現実」を見つけ出すことができますが、見つけ出しただけでは「本当に当てはまるのか」という疑問が残るため「検証」する必要があります。


とはいえ、です。


今回の「検証」に限って言えば、元々の目的は「自分と向き合う」ことです。

ここで大切なことは、感情を差し引いて導き出された「事実」に対して「どうしてその感情が生まれたのか」を見つけ出し、自分の感情が生まれる傾向をつかむことです。


クッキーを前にして「おいしそう」と感じたのはなぜか。
ケーキを前にしても「おいしそう」と感じたのは、なぜなのか。

この二つともに当てはまる「事実」は何なのか。
その「事実」がきちんと自分にも当てはまっているのか。

自分の「感情」がその「事実」に対してどう動くのか。
その動きは他の場合でも同じように動くのか。


そういった「感情の動き」を細かく検証を重ねていくうちに「自分らしさ」が見つかります。

「こういう時はこう感じる」と確かに言えるもの。
その積み重ねが「自分」を形作っていくのです。



たとえば、クッキーやケーキを見て「おいしそう」と感じる人は多いでしょう。
しかし人には好き嫌いや体質によって「これはいいけどあれはダメ」というものがあります。

「食べ物」という分類に対して「好き嫌い」という分け方だけでも数えきれないほどの組み合わせがあるのです。

ここに「勉強(科目)」「運動」「趣味」など多数の分類を混ぜ合わせたら、自分の感情が指し示すパターンすべてに当てはまる人は自分しかいないということがわかります。


よく「自分がわからない」という方を見かけます。

それは自分と向き合うべきただ一つの理由でもお話ししたように、社会の利便性が増してみんなが同じものを使い、その感情を分け合うことで「自分と他人の差」が分けづらくなったためです。

しかし自分の心の動きをよく見ていれば、他人との差が見つけられます。
それがたとえ些細なことであったとしても、自分の手で分析し、検証した結果導き出したものであればその経験を通じて「自分らしさ」を積み重ねられるのです。


そうして「ああ、確かに『自分』はここにいるのだな」と感じられたとき。
「自分らしさ」は「揺るぎない自分」という本質を創り出すことになります。


つまり「検証」とは「本質を見つけ出す」営みのことです。


一つの事実に対して「そう感じた」自分を見つけ出す。積み重ねる。
自分の心の動きを「検証」することが「自分と向き合う」ことにつながるのです。


僕自身は前田裕二さんの著書『メモの魔力 The Magic of Memo (NewsPicks Book) [ 前田裕二 ]』のアレンジメモで毎日1つ以上メモを取り、「分析・検証・実践」を行っています。

そのメモをInstagramを始めとしたSNSで発信していますので、よかったら参考にしてみてください。


メモが見たい方はこちらから ↓
ナカさん@しるしの魔術師(@magicofsign)のinstagram


例えば今回の記事に対してもメモを取っています。

メモの左半分は「ファクト(事実)」、右半分のうち左側は「抽象化」を書き出すスペースになっており、今回お話しした「検証」を切り詰めて書き出すことが出来ます。

また次回以降お話しする「実践」もメモの右半分で行うことになりますので、メモの魔力のメモ術を習得すると「自分と向き合う」には最適なツールになっています。

どんな内容も「自分でやってみる」ことで初めて学びにつながります。

記事を読んで「ほぉ~そうなんだ~」で終わらせず、今から始めて学ぶ楽しさを手に入れましょう。


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『メモの魔力』モデルの元となったノートやボールペンも紹介します。

【併せて読みたい記事】
自分と向き合うべきただ一つの理由
僕は自己分析で「メモの魔力」のメモ術をお勧めする
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